「春はあけぼの」ー清少納言『枕草子』
中2生が、今度の中間考査の国語の出題範囲に、『枕草子』の冒頭が入っていて、今、頑張って勉強している。
明日の指導時間にこれは語っておかねばならない、というところがあって、ほかの教科も大事だけれど、語らせていただこうと思っている。
最近頑張っているなあ。
よく、紫式部と清少納言ではどちらが好き?という議論がある。
私は性格的にも作品的にも考え方も、紫式部が好きである。
が、清少納言の、あれもいいわ!これもいいわ!とあっさりと面白さを認める鋭い感性が好きでもある。
そばにいるなら、紫式部より清少納言の方があっさりしていて好きかもしれない。
『紫式部日記』などを読んでいると、職場での人間関係や女性の嫉妬などなど、どこが今と違うねん!?と思わされるくらいに人の心というのは変わらない。
早めに国語の授業で、紫式部などとしっかり読んでおけば、その後の人生における人間関係にも生かされそうである。
紫式部のようなエリートで、当時の権力者のそばにいて栄華の極みをそばで見ている人でも人間関係には悩まされるのだな、と思えば、中学や高校でちょっとやそっとあれこれあっても、まあ、人間というものはそういうものだと思えるかもしれない。
結構国語って楽しい教科なんだけどなあ・・・。
思い切り現代文、思い切り古文、思い切り漢文もやってみたいなあ、と思う。
正直、思い切りどれかをやることはなかなかできないし、だいたいにおいて制約のある中で思い切り授業できる場というものはなかなかない。
予備校が幾分それにあたるが、それでも受験で得点するということが最大使命になるので、教養ばかりを話すわけにもいかない。
でも、本格的国語の指導は楽しい。
東京の私学の男子校で、高3の古文は、『源氏物語』しかしないというところがあるというのを読んだことがある。
正直、『源氏』が読めたら、ほかの文章は軽く読めるだろうし、何よりあちこちを断片的に読むよりも身に着けるものが大きいと思う。
もちろん随筆や軍記者物も大事であるが、それはそれなりのおもしろさであるが、『源氏』を読むと、式部の人間心理への洞察の深さがもう唸らされる。
何度読んでも面白すぎる。
光源氏は、今で言うパワハラとセクハラ、意外にモラハラも軽くやっているし、そんな自分にちょっと苦悩もするし、時には人を間接的に死に至らせるようなこともある。
本当に人の心は一筋縄ではいかない。
単純ではないから面白い。
あああ、中2生の『枕草子』からこんな話になってしまって・・・。