勉強に中毒するまでは、意外に遊びの部分や待つことが重要だったりします。
もちろん、ご本人が、勉強する態勢を整えて入塾される方もいらっしゃいますが、今からその態勢を作り上げていく、というときには、まあ言ってみれば、その子の土台がまだできていないわけですから、土台作りから始めます。
勉強には二つの土台があって、勉強そのものをするということもありますが、もう一方で、それを支えるための体力も精神的なものもあります。敢えて、ここでは体力面には触れないでいようと、今は思っています。
精神的に追い詰められるタイプは、高校に入学するまではいいのですが、入学してから息切れしてしまうこともあります。
今までにもそういう生徒さんが少数ですがおられました。
それならば、少々図太い神経でも培っておいてくれた方が、後々助かります。
我が母校でも、私は伝え聞いた程度ですが、かつて、席次を張り出していた頃は、自分から死んでしまう人がいたらしいのです。
なぜかというと、1番の生徒が1番でなくなることを相当に恐れて、ということでした。
そうなると、勉強のおもしろさも、それまでの努力もどこかに行ってしまうので、まあ、そんなこともあるさ、これもいい勉強!と開き直るくらいの神経を持ち合わせていた方が、健全です。
1番は極端な例ですが、進学校に入学したら、それこそ、1番から最下位まで番数が出ますから、結局番数が見えます。
かと言って、必ずしも番数通りの進学結果になるかというと、そうもいかないのが受験の怖さでもあり、おもしろいところでもあります。
態勢ができている生徒さんには、バシバシ指導をします。
それこそ容赦ありません。
先日からも、なんで僕にそんなこと言うんですかー?と言ってる生徒に、
どうせ入ったら、あっちからもこっちからもしごかれるのよ!今のうちに鍛えられておきなさい。
と勉強ができるからと言って、もちろん努力をしていることは認めますが、今の勉強ができているのなら、その先のことも考えて、できるなら余裕で高校生活に入ることができるように全力を尽くします。
そして、これから実力を蓄えていかなければならない生徒さんには、少しずつ少しずつ分かるように説明します。
まずは関係性を構築し、私には何を言っても大丈夫、という安心感をもってもらった段階で、やっとこちらの言うべきことを伝えていきます。
そして、ゆっくりゆっくり丁寧に指導していき、だんだん加速していきます。
このやり方が功を奏したな、と思っている生徒さんがおられます。
中三の、10月頃に出会った生徒さんです。
少しずつ糸を手繰り寄せ手繰り寄せ、あっち向いてしまわないように、疲れ切ってしまわないように、少しずつ少しずつ勉強に気持ちをもってこさせます。
そして、その生徒さん、生徒さんで伸び時というものがあります。
無理やり伸ばすこともできなくもないのですが、私は待ちます。
待たなければ、その子自体、その本質を壊してしまうこともあるからです。
受験までには間に合わせることをモットーとしてはおりますが、そのギリギリ間に合うところまでは待つことにしています。
最後になって、少々追い込んでも大丈夫、となれば追い込みを掛けます。
それまで待った分、伸びるのも早くなります。
どうしたって早く結果を出したいのが人情ですが、焦ってしまうのも当然ですが、ここは待った方が得策ですし、それに、少しばかり遊びを入れた方が結果的にはいいものになります。
この時間を取ることができるか?待つことができるか?
実はここにこそ勝敗のカギがあると考えています。
なかなか伝わりにくいことですが、それをこそ伝えたいことでもあります。
なかなかに逆説的ではありますが、勝ちに行くために勝ちを意識しない、というのが一番いいと思います。
プロセスを楽しむことができれば、周りなど気にならなくなりますし、そうすればペースを乱すこともなくなります。
所詮、受験というのは、周りにも受験生がいるとは言うものの、自分と高校、あるいは大学との勝負です。
実は周りは関係ない。
今年は定員減ということも視野に入った進路指導をしなければなりませんが、それも、自分が実力をつければいいだけのことです。
定員減になれば、そこに入れるだけの努力をすればいいのです。
そのためのベクトルはお伝えします。
だからこそ、私は面談を大事に思っているのです。