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『源氏物語』の蛍の巻などを読むと、源氏の玉鬘に対する、パワハラ、セクハラやん!といつも怒ってしまうのであるけれど、何度か読むうちに、奴(源氏)も一応苦悩はしているのだなあ・・・、などと考えてみたりもするけれど、それにしても、玉鬘の苦悩を想うと、たまらない気持ちにさせられる。

蛍、と言うと、思い出がある。
ある夕方、うちのガレージに車を停めて、ドアから出ると、正に頭上から大きな大きな蛍が降りてきたのである。
正直、人魂か?と一瞬考えたほどの大きさだった。その蛍は、スーッと北の方角へと飛んで行った。
どちらかと言うと田園地帯も近くにあるとは言うものの、住宅地である。
何だろう・・・?と思っていた。

二年後、ある同僚が亡くなっていたことを知った。
すぐさま、懇意にしていたかつての同僚に電話をした。
「先生、なんで私が電話したかわかってると思いますが・・・。」から始まって、あれこれ話していた。
彼は、実際よく知らないし、仮に知っていても、私が話すようなことではないので・・・。と、いつもの良識ある様子で答えてくれた。彼には、私は格好の悪いところも見せたし、結構本音も言っていた。
ああ、これ以上聞いたって駄目だな、と思い、諦めた。
なんだったら、ご自宅に行かれたら・・・、なんて言われたけれど、そうして、飲み会のときに、ご実家がどこで、何をしていらっしゃるお家か聞いていたけど、いきなり私のような年上の女性教師が押しかけたら、びっくりされるだろうと思って、もちろん控えさせていただいた。
そのことを知った日は、もう、その後の授業ができなくなった。
その後、二週間ほど、私は、自分の席に座っていても、落ち着かなくて、何度も職場を飛び出して、あてどもなく運転する日々が続いた。
そんなにすごく関わった人ではなかった。
でも、思いやりを掛けてくれているのはわかっていた。
いなくなった後に気付くなんて・・・。
いる間だったら、せめて感謝の気持ちくらい伝えることもできただろうに・・・。

それから決めた。
感謝するなら、目の前にいる間に、きちんと気持ちを伝えておこう、と。

思えば、あの蛍、その時期だったのかなあ、と思う。
いつだったの?といろんな人にお聞きしてみたけれど、みんな、いつだったかなあ・・・、とはっきりわからないようだった。
でも、いつも夢に出てくるときは、明るい服を着て、ニッコリ笑ってくれた。
きっといつも見守ってくれているのかなあ、と思っている。

公開:2019/08/10 最終更新:2019/08/10
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