受験指導さなかだというのに、遠藤周作『影に対して』を読みました。-高岡の個別指導塾チェリー・ブロッサム
私たちが受験にばかり気持ちが向かっている時期にも世間で騒いでいる事件はあります。
ちょっとした機会に、フジテレビの記者会見を少しだけ見る機会がありました。
まあ、生徒とその話になり、いろいろな考え方があるのだなあと思った一方、記者会見に出ておられた、なんとなく見覚えのある人が、なんと遠藤周作の息子さんである遠藤龍之介さんだということを知り、遠藤周作はハマったことのある作家ではないものの、受験業界にいて、その文章はあっちこっちで目にしていたので、気になっていました。
その絡みで、遠藤周作が死んだ後で発見されたと言われる作品集、『影に対して』が気になり、思わずアマゾンで注文し、昨日、教室に届くや読み始め、指導開始まで読んでいて、それから家に帰って読んでしまいました。
その中に、「アスハルトの道は安全だから誰だって歩きます。危険がないから誰だって歩きます。でおむしろを振り返ってみれば、その安全な道には自分の足跡なんか一つだってのこっていやしない。」という一節があります。それは今は亡き作家である父が、会社員になった龍之介さんに言った言葉に重なるそうです。
いろんな事件の中で、いろんな言葉を発する人にも、その人を育てた人にも、背景にはいろいろあり、私などが生徒さんと共にあれこれ表層しか知らないのにあれこれ言っているそんな渦中の人の人生にも、なかなかの重みのある表現があるものだと思ったのです。
自分のことすらわからない私たちに、すべてのことを偏見なしにきちんと見るということは不可能です。
それでも、できるだけ偏見からではなくて、まっとうに見ようとする自覚は大事だなと思わされます。
いろいろな意味で時代の分岐点に来ているような気のする昨今。
私は世の中がいい方向に変わるための膿のようなものであってほしいと思っています。